映画日記

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キューポラのある街

昭和34年に雑誌に連載され、話題となり単行本化され、それが映画となった作品。
 
埼玉県川口市が舞台で、キューポラというのは、鋳物工場の煙突の事。
戦後、川口市では鋳物工場が沢山あったそうで、そこを舞台とした青春ドラマです。
まだ中学生の主人公ジュン(吉永小百合)の周りで起こる貧困や親子問題、民族、友情、性など多くのエピソードがぎゅうぎゅうに
詰め込まれています。
 
ただでさえ生活が苦しい中、赤ん坊が生まれて子供が4人になり、鋳物職人である父、辰五郎が仕事を解雇される。
毎日酒に溺れる父を見ながら、ジュンや弟のタカユキは、家が貧乏だから高校も行けないのか、教育も受けられないのか、
仕事にも就けないから一生このままなのか、と悩み、苦しむ。
そんな中でも、一筋の光を見つけようとどんどん前向きに進んでいく姿が清々しく、当時の戦後の日本に元気を与えようと
する役割の担っているような、嗚呼、当時の映画ってこういうモノだったんだな…と感じました。

話の中で、まだ小学生のタカユキが伝書鳩をせっせと育て、友人に売り歩くみたいなシーンもありましたが、これも
時代を表しているな〜と。(笑)
 
白黒映画ですが、主役の吉永さゆりがまだ高校生の頃の作品。
若いし可愛いし、でもそれだけでない存在感というか、白黒映画なのに、そこから飛び出してきそうなパワーがあって
周りの俳優さん達もすごい迫力です。ちゃぶ台を思いっきりひっくり返す、みたいな。
  
今は川口市に鋳物工場は少なくなりましたが、戦後から高度成長に向かう時代の一面を見たような、そんな映画でした。
吉永小百合ってやっぱりすごいんだな。。。