映画日記

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ハルちゃん 前編

高校生の時、クラスにハルちゃんという生徒がいました。
彼女は、一目で見て‘不良’あるいは、‘ヤンキー’と分かる女性でした。
いつも丁寧にお化粧をし、肩につかないぐらいのつやつやの黒髪をまっすぐにそろえ、細い眉毛をきっちり書き、小柄できゃしゃな体つきの彼女は、笑うと片方の口角だけがふっと上がる、ミステリアスな雰囲気の女性でした。

ので、私の通っていたクラスは、音楽科で一クラスだけでありましたが、彼女は周りの子達よりも少し大人っぽく、雰囲気が空気が少し違っていたように思います。
風の噂では、彼女のお姉さんはバイオリンで、有名なコンクールでいくつも賞を取っているすごい人らしい、という話を聞いた事もありましたが。

同じクラスだったので、何度か話はした事はありましたが、彼女に今、私という存在について聞いてもきっと、ああ、そういうえばいたねぇそんな子、ぐらいの、距離であろう。

そんなある日、どういう理由かは分かりませんが、彼女は学校をやめてしまいました。
決してクラスの雰囲気をみだしたりする存在ではなかったのに、突然学校を退学してしまいました。

それから月日が経ち、3年生の冬、私は東京の音大を受験する事になり、冬期講習を受ける為に、おなじ境遇のクラスメイト達4,5人と一緒に、東京に行く事になりました。
 
 
 

講習が全部終った最後の夜。
メンバーの一人に、ハルちゃんと仲良しだった子がいて、彼女が、
「ねえ、ハルちゃん、今東京にいるんだって。
 私会いに行くんだけど、皆もいかない?」
と言い出し、話の流れで、皆で会いに行こうという事になりました。

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