映画日記

面白かった映画やドラマ、本などを残しておくページ

父のハンバーグ

思い返せば、私のブログ歴も結構長く、今年で6年目になる。
その間、あちらこちらに移動はしながらも、細々と続いている。
今日、棚をごそごそと整理していたら、こんなものが出てきた。
2007年の7月に書いたブログからです。

 
 
 
「父のハンバーグ」
当時、私は、仕事に撲殺され、心身ともにボロボロになっていた。
どこに向かっているかも分からないまま、走り続けなければいけない状況が続き、気が付くと何もできなくなってしまうほど、疲れ切っていた。
誰にも会いたくなくて、会いたい人に会っても、ずっと涙が止まらなくなるほど、心の中の何かが壊れていた。
 
そんなどん底の闇が、少しずつ晴れ始めた、とある日の、日曜のお昼時。
父が母に手ほどきを受けながら、ハンバーグを作っていた。
 
目の前に置かれた大きなお皿に、父の力作が、どんどん積まれてゆく。
お店で食べるようなフカフカのハンバーグではなかったが、普段、そこまで料理をしない父が作ったものだと思うと、何だか熱いものがこみ上げてきた。
 
私が食べようとすると
「どう?味は?」と母が聞く。
「まだ、食べてないよ。」と私が言うと
「早く食ってみろ。」と父がせかす。
 
父の作ったハンバーグは、優しい味がした。
主張するような濃さはなく、うす味だったけど、どこか深みのある味だった。
 
「どう?」と母が繰り返す。
「うん。おいしいよ。」と私が答えると
「そうか、そうか。」と満足そうに父が答える。
 
何だか、長い間、暗闇だった私の心に、父のハンバーグが終止符をうってくれたような感じがして、この日は2つも3つも食べた。
暖かい午後の日差しと共に、この日食べたハンバーグの味は、今でもよく覚えている。
 
 
それ以来、レストランなどで元気をつけたい時、これから勝負だ!という時は、何故かハンバーグを頼んでしまう自分がいる。
でも、やっぱり一番おいしいのは、手作りのハンバーグかもしれない。
 
こういうのってありませんか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
なつかしい文章です。